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後期研修では、悪性疾患、良性疾患、外傷など外科全般をバランスよく研修し、外科専門医となるための幅広い外科的知識や診療技術を身につけ、現代社会に通用する臨床医の育成を目標としています。当院外科では消化管、肝胆膵、乳腺内分泌などの悪性疾患およびヘルニアなどの良性疾患、外傷を主体に診療を行っており、特に消化器疾患の患者については、内科と毎週カンファランスを行い緊密な連携のもとに診断から治療まで、一貫した診療体制をとっています。当科の平成20年度の手術件数は956件に及び、本年はさらに増加傾向にあり、外科医一人当たりの年間手術数は100例を超えています。低侵襲の腹腔鏡補助下手術も、胆石症、大腸癌、虫垂炎手術などに積極的に導入しています。
救急疾患については2次救急指定施設であることから年間約4500台の救急車搬送があり、あらゆる外科的救急疾患に対して十分対応できる体制をとっています。外科救急の実際の症例を体験することによって、診断から治療までの一連の流れを習得することができます。このように豊富な手術症例を通して確実な手術手技の習得を目指しています。
当科は基本的に外科単一プログラムですが、外科専門医取得に必要な症例を経験するため、当院の心臓血管外科、呼吸器外科、耳鼻咽喉科、形成外科などと連携して短期間研修できるようになっています。この専門医は消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科および小児外科などの関連外科(サブスペシャルティ)専門医を取得する際に必要な基盤となる共通の資格です。
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具体的には350例以上の手術手技を経験(うち120例以上は術者としての経験が必要)する必要が出てきます。実際に下記領域の手術を経験する必要があります。括弧内は手術手技の最低症例数を示しています。
@消化管および腹部内臓(50例)
A乳腺(10例)
B呼吸器(10例)
C心臓・大血管(10例)
D末梢血管(頭蓋内血管を除く)(10例)
E頭頸部・体表・内分泌外科(皮膚,柔部組織,顔面,唾液腺,甲状腺,上皮小体,性腺,副腎など)(10例)
F小児外科(10例)
G外傷(多発外傷を含む)(10例)
H上記@〜Gの各分野における内視鏡手術(腹腔鏡・胸腔鏡を含む)(10例)
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これらの症例を院内研修で経験することができます。
また、消化器悪性腫瘍に関する外科診断学や病態生理について精通し、PETなどの高性能の画像診断器機を駆使し、それに基づく適切な治療方針を決定する能力を習得していきます。
その他、癌に対し、化学療法、放射線療法、陽子線治療、免疫療法、温熱療法などを有機的に結びつけて治療しています。さらに癌のチーム医療(毎週1回のコメディカルとのカンファランスの実施)、緩和医療(緩和ケアチーム)、地域医療にも積極的に取り組んでおり、チームのメンバーとして患者さんに関わっていきます。
また、学会、研究会などの学術活動へも積極的に参加し、最新の知識の獲得と情報発信を行っています。