【manner of businessman】

もしかしたら医者はビジネスマンからはバカにされているのかもしれない。
医者は専門性が高いから尊敬されているように思うかもしれないが、案外世事に疎い。
だから、どうせ医者相手だから、となめられているのかもしれない。

あるとき全国学会の講演会でとても性能のよい医療機器の紹介があり、アンケートに「購入したいから、一度デモをお願いしたい」と書いて提出した。
一週間たっても、二週間たっても会社からは何も連絡がこない。
しびれをきらして、こちらから連絡をしたら、承知はしていたが、本社扱いではなく現場の担当者に任せていたというのだ。
ふつう、400-500人が参加するような大きな講演の場合、アンケートに記載を依頼しても、○を記入するだけのことが多い。意見を書き込む人は少ない。僕は「購入を検討したい」と書いていたのだから、数名はいたとしてもすぐに対応してくれることを期待していたのだ。

あとで、担当者に聞いてみたら、書き込みをしていたのは20-30人。そのうち購入を検討と書いてあったのは僕一人だったというのだ。
もし僕がその責任者の立場なら、学会の翌日に自分で電話してすぐにappointmentをとると思う。
だって発売前の商品なので、まず最初に一台でも販売したいと思うのが人情というかビジネスマンのつとめでしょう?
なのに、担当者は現場に任せた。自社製品に自信があって、売りたいと思ったら、どうすべきかな?
そのProject leaderは失格だよね。

その後連絡したら、担当者と責任者が頭を下げてお詫びに来てくれた。是非デモをさせてほしいと。
全国で最初にデモをしてもらうので、それを誠意と思ってほしいと。
そこまで言われたら、断れないよね。

デモは確かにその機種の性能を理解できた。
駆け引きはなしにして、購入を前提として検討するので、そちらもできるだけの価格面での誠意を見せてほしいと依頼した。
交渉を進めながら、年度明けの購入を検討する旨伝えた。
年の暮にあいさつに翌日に来たい旨mailで連絡があり、わざわざあいさつなど不要と伝え、その日は出張で不在なので、もしいらっしゃるなら年明けにしてほしい旨mailで返した。
お昼のmailに対し、15時に返したが、20時になっても返事がなかったので、たぶん伝わったものと思っていた。

翌日出張から戻ると、直前まで担当者が待っていたと聞き、びっくり。
ということは僕のmailを見ていないということ。
ビジネスマンにとってmailは電話と同じくらい大切なcommunication手段。日に何度もcheckしなければならないはず。
なのにまる一日checkをしていないとは何事かと。Mailは簡単な手段ではあるが、確実に伝えなければならないことは電話にすべきはずだ。
その基本をまるで理解していない。
僕は完全に担当者に対する信頼を失った。

本来これに対する連絡は電話ですべきだ。
でも僕はあえて、mailで担当者に返した。
物事の本質をどう考えているかを試す意味でも。
その返答は・・・なんとmailであったのだ。
僕の担当者に対する信頼は失墜した。取り返しのないほどに。
次のmailでビジネスマンにとってのmailと電話の意義の再考を促した。
そこではじめて電話で連絡してきた。
遅きに失してはいたが。

そのような対応をするような会社の機器を購入しても、至急に連絡しても対応してくれないのではという懸念を抱くのだ。
機器は購入することよりもそれをどのように運用するかが大きな要素だ。せっかく新製品を購入しても、すぐに壊れてしまっては無用の長物。しかもそれを修理やmaintenanceが連絡がとれないとなると・・・。ビジネスマンは機械を得る前にclientに対する信頼を確固たるものにすることが何はさておき必須条件。それを反故にするようなことを二回もされてまで、あえて新興会社の新製品を購入するriskを犯す必要はない。
この件があり、僕は購入を断念した。

年が明けて、あらためてProject leaderと担当者が面会に来てくれたが、その旨伝えた。
会社としては決してあきらめていないので、ゼロからまた交渉させてほしいと言われたが、一度失った信頼を勝ち得るのは口で言うほどやさしいものではない・・・ということは彼らも十分に承知しているはずなのだが。

日本のビジネスマンのすべてが決してそうではないと思うのだが、専門バカと揶揄される医師からそのようなことを言われて恥ずかしくないのであろうか?
日本だけでなく、世界に対しても競争力を持とうと思うなら、せめてもう少し緊張感のある仕事をしてほしいものだ。

そうは思わんか?

「先生、なんでそんなに熱くなっているんですか?」

・・・君は医者でよかったな。

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