【Fighting spirit】

かつてある高名な教授から伺った話なんだけど。
中南米のある施設で、がんを心理療法で克服したことが報告されたらしい。
医療とは無縁のような話だけど、これは著名な信頼のある雑誌に掲載された内容らしい。
Stage IVの末期患者をなんら抗がん剤治療をすることなく、consultationや緩和ケアだけで、生存期間の延長につなげられたという報告が南米のある国から報告された。編集者は真偽に疑問を感じ、現地の視察と取材を行った。すると確かに末期がん患者がいきいきと暮らしていることを確認し、それで本誌に掲載されることなったというんだ。
そのTitleにfighting spiritという言葉が入っていたらしい。
原著を読みたいと探したけれど、その論文は見つからず、そのままになってしまった。
うそをいう教授ではなかったから文献があるとは思うんだけど、Titleと雑誌名は覚えていないということだから、調べようがない。
今でも真偽のほどはわからないけど、その文献読んでみたいなとは思っているんだけどね。
でも、少なからず真理は含んでいると思う。
すなわち患者に病気と向き合い、闘う意欲のない方に治療は継続できないということさ。
笑いが免疫を高めるとか、うつは免疫が低下するとか言われているが、非科学的ではあるが西洋医学的な数字の割り切りだけでは語れない医療の本質ってあると思うんだ。結構こういうことは医学で研究されていたりもするんだけどね。
採血では異常はない。熱もない。血圧も安定している。
でも食欲がなくて、ふさぎこんで寝ている。
本日は抗がん剤の投与日。きみなら今日点滴をするかい?
「悩んじゃいます」
そうだろう?
患者はものではない。こころを持った人間なのだ。あたりまえすぎるけど。
でもこころを慮ることは学問ではない。
大学でも教えないし、ガイドラインにも入ってこない。
でも絶対に無視はできない厳然たる現実なのだ。
数字とこころのどちらを信用する?
病気を診る前にまずは患者さんを診よ!

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