【希望という名の力】

人間というのはそれほど強いものじゃあない。
心が折れそうになることだってある。
そのときどのようにがんばれるか、ひとによって違うだろう。
自分で立ち直れる人はいいけど、落ち込んでしまう人もいれば、投げ出してしまうこともあるかもしれない。
でもひとの助けで立ち直れるひともいるよね。
僕らの患者さんは癌の方が多い。
顔で笑っても、こころに大きな悩み・・・死を受け入れなければならないという人生最大の難問と向き合っている人もいるのさ。
医者がひとのいのちを扱う仕事といっても、すべての方を救えるわけではない。避けられない死もある。
だから残された期間どのように有意義に過ごしてもらうのか。
どれだけの希望を与えてあげられるか・・・を考えさせられるような症例もいる。
僕らは聖職者ではない。だから、そこまで考えなくてもいいだろうと思うかもしれない。
でもそれは違う。
だって、考えてごらん。
患者さんの気持ちを度外視して、抗がん剤治療はできないでしょう?
BSC(Best Supportive Care)と言ったって、言い訳や逃げで治療しているわけではない。
入院して治療しているうちは、それなりの治療の意義と満足感を感じてもらいたいと思っている。
だから先生にお任せというような方に対しては僕は治療はしたくない。
少しでもよくなりたいという方を応援したいのだ。
宗教的依存度の低い日本では、精神的救いはあまり重要視されていないかもしれない。
でも人間が生きていく上では救いは必要なのさ。
患者さんのこころの温度を僅かでもあげてあげたい。
我々が何をできるか考えてあげたいよな。
治療ができなければ、もう僕らの仕事ではなくなると割り切る・・・そんな選択はしたくない。
患者さんの生きる気持ちとそれをささえる家族の気持ちを応援することも大切な医療行為だと思う。

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