【ERCP】

孫子の「兵法」って知っているかい?

「聞いたことはありますが、内容はちょっと・・・」
敵を知り、己を知れば百戦危うからずや。聞いたことあるだろう?
「あ、それ知っています」
実は「兵法」って隠れたベストセラーなんだぜ。有名なこの一文は謀攻篇の中で語られている。今では本でなくともネットで結構内容は勉強できるから、売れてはいなくても結構読まれている。因みに読者は誰だと思う?
「医者?なんですか?」
おまえなぁ、聞かれてすぐに思いつきで返事をするんじゃなくて、ちょっとは知恵を絞れよ。頭は使ってなんぼだぜ。
「兵法」は隠れたビジネス書って言われているんだ。なぜなら、ここには戦い方の解説もあるのだけれど、それ以上に人の使い方や戦争の是非を説いているからさ。
最初に説いているのはなんと「戦いはするな」だよ。「兵法」なのに。「次に戦わず勝つことがよい」だよ。そこがすごいところなのさ。好戦的な戦いの仕方を説くのではなく、「どうしても避けられないときに限り開戦せよ」と説いている。なぜなら、戦争は国を疲弊させるからさ。死者もでる、戦費もかさむ、国政にとって、国益があまりないのは昔からよく知られていたということさ。だから、孫子は為政者に対して良心を説いていたのだと思う。そして効率のよい、負けない戦いをして早く戦争を終わらせ、死者や出費を極力減らすことを説いたのさ。これはリーダー論でもあり、会社の経営論にも通じるのさ。
僕はこれはERCPにも通じると思う。
ERCPはしない方がよい。どうしてもやらなきゃいけないとき限り施行すべきだと。
君も知っていると思うけどERCPは内視鏡検査の中でも一番偶発症が多い。ERCP後膵炎って知っているだろう。ある程度病気を想定して治療を兼ねるべき方を対象としている。なぜなら、ERCPは難しくて、消化器の医者でも検査を施行できる人はほんの一握りしかいない。しかも相当の熟練を要する。それでも確実に検査ができるかと言うと専門施設でも成功率は90-95%程度と言われている。僕は98-99%なので、他の施設よりも精度が高い検査をできているけどね。それでも難しい方はいる。でも絶対に膵炎を起こさない努力をしているよ。実際、ERCP後膵炎の発症率は1.8%で、他の施設よりも低いんだ。
医療は患者さんをよくすべきものであり、決して医療が患者さんを苦しめてはいけないんだ。だから、僕はERCPを受けるすべての患者さんが安全に安心して検査を受けられるような真理を求めたいと思っている。
だから、学会での発表もこういったことを提案しているんだ。

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