【患者さんが教科書】

医学の世界ではよく言われるよね。

「聞いたことあります」
教科書を読んで概念は理解している。でも疾患は紙の上にあるのではなく、人が抱えている病態なのさ。
だから、同じ胃潰瘍でも10人十色。
ピロリ菌の感染による方もいれば、残業続きでover workでstressを抱えている方もいる。Steroidの長期服用やNSAIDsや抗凝固剤の服用による副作用と考えざるを得ない方々もいる。精査をすれば実は癌である方もいるし、他臓器の癌を患い体の浸襲が大きいために胃潰瘍を合併している方もいる。中には御姑さんと折り合いが合わない方がstressで胃潰瘍を患う方もいるんだよ。
教科書で病気を勉強することと、目の前にいる患者さんを診断することは似て非なるものがある。
だから病気は患者さんの顔で覚えることが大切なのさ。多くの患者さんを診察することが大切なのさ。
教科書を読んで覚えることは必要でも、その知識に魂は籠っていない。
知識という経糸と患者さんの診察による経験という横糸を紡ぐことではじめて医療は熟成されてゆくのさ。
ときに患者さんの言葉から考えさせられる、文字通り患者さんが教科書になることもあるからね。
患者さんを治してあげるなんて不遜な考えは捨てて、ときに謙虚さを持ち患者さんに接することも大切な要素さ。
医師は生涯勉強し続けなければいけない。
大学を卒業するということは最低限の知識は習得していることの証にしかなっていからね。
医学は日進月歩。ある意味大学で勉強した知識は、医師として仕事をする時期にはすでに過去の遺物になっていることも少なくない。
つねに新しい知識を習得するという姿勢が大切なのさ。
多くの教科書や論文を読み、学会や講演会で知識の更新をして、患者さんと言う教科書と出逢い、そしていつか君自身が後輩のために教科書を書けるぐらいになることを夢見て研鑽されたし

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