【動機付け】

「先生その言葉はKiller wordですね」

そうだろう?
患者さんに説明というか説得する時に、ガイドラインがどうこうとか、あなたのこの数値を維持すると5年後の合併症の確立は30%ですよと言うよりも、具体的な説明をする方がよっぽど効果があるのさ。
さっきの人は禁煙外来にかかっていて、禁煙治療をしてもやっぱりタバコはやめられなかった。
でもやめたいとは思っている。家計にも負担かかるしね。40代で若いからやめるべきだとも思う。
じゃあこれからもやめれなくて仕方がないと諦めるのかっていう問題ですよ。
要はいかに本人にやめたいと思わせるか、本気にさせるか。そこを考える訳さ。
あなたは好きで吸っているからいいですよね。でもその紫煙を奥さんも吸っている。最近は喫煙者だけでなく、配偶者が喫煙していないにも関わらず、ご主人の副流煙のせいと考えられる肺がん罹患症例が増えているんです。御存知ですか?
愛する奥さんに恩義を感じているでしょう?
奥さんを肺がんで失いたくないでしょう?
だったら、煙草をやめるぐらいのことはできるでしょう!
清水の舞台から飛び降りろと言っているわけではない。
煙草と奥さん・・・どちらをとりますかという選択ですよ。迷う必要がありますか?
奥さんを見てごらんなさい。うなづいてますよ。
「いくら言っても聞かないんです」
「わかった。今日からやめる。家内にはまだまだ健康でいてもらわにゃあならん。やめる!」
あの約束のあと今日、あの方が、外来にいらしたよ。
煙草をくわえて、プハーと煙を出しながら診察に入ってきたから、「けしからん」とたしなめようと思ったら、甘い香りがするんだ。形も大きさも煙草で、吸うと光りまでつくんだけど、おもちゃ。煙はバニラの香りがするハイテク煙草なんだって!
でも、結局禁煙はできたみたいだよ。
おもちゃで言うこと聞くなんてちょっと子供じみてるけど、要は動機付けなんだと思う。
大切なことは「理論」ではなくて「理解」だと思うんだ。
患者さんが納得して理解できれば、難しいことでも取り組める。要は我々はその動機付けを提供してあげられるかなんだんだよね。それがはまれば、特効薬にもなるってわけさ。 「いつかそれ僕も言ってみたいです」
うん。ご自由に!
Patentもcopyrightもないから安心して使っていいよ!

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