君はどうして研修病院としてこの病院を選んだの?
「病院が新しくて、設備も整っているのでいい研修ができるかなと考えました」
それは間違いではないかもしれないけど、後輩に伝えるならキラーポイントアドバイスをしてあげるといいよ。
ある程度臨床研修がしっかりしている有名な病院はあるけれど、多くの病院はさほど違いはないだろう。この病院も例外ではない。であれば、研修医にとってメリットの大きい病院とはなんだろう?
研修医に大きな恩恵をもたらすのは症例の経験数だよ。せっかく研修していても症例数が少なくてはいい研修ができない。症例数が多くても研修医が多くては自分の診れる症例が少なくなる。だから、病院の症例数が多くて、自分がしっかり症例を診れる病院を選ぶべきなのさ。もちろんしっかりした指導医がいることが大切だけどね。
「どうしたらそれがわかるのですか?」
それを客観的にわかるといいよね。何でわかると思う?
「・・・さあ?」
外来受診患者数だよ。年別患者数だよ。
患者さんは病院の対応すなわち診断や治療に結構敏感なんだよ。満足できる治療をしてもらえたら、また診察に来る。でも信頼できなければ別な病院へ行くでしょ?安心してかかれるなら、知り合いにも受診を勧めるじゃない。だから、患者さんに認められている病院は年々受診患者数は増えていく。患者さんの信頼と受診患者数は正の相関を示すってわけさ。
例えば、医師が辞めていって、満足な診療ができなければ患者さんの足は遠のく。
だから、患者数の年次推移を見ればその病院の地域認知度・信頼度が一目瞭然ってわけさ。
研修医募集の説明会には行ったことあるだろう?立派なポスターを貼って、パンフレットを作って、「どうぞ」って言われて話を聞けば、いい病院だなって思うかもしれない。でも、実際行ってみるとずいぶん雰囲気が違うってことはあるでしょ。だから、病院の雰囲気として、病院のフロアにいる患者さんの多さや職員の活気を感じ取ることでその病院の見立ををすればいいのさ。
患者さんが選んでいる病院。自分が安心してかかりたい病院。それがいい病院なのさ。